2024年01月20日
日本軍拳銃と薬室:九四式は「あれ」でも問題なかった?
はじめに
九四式拳銃。将校の軍装用としての用途を想定して開発され、1934年に日本軍に準制式採用された拳銃である。開発者は言わずと知れた日本軍一の銃器発明家、南部麒次郎。
九四式拳銃には「逆鈎(シアバー)」という部品がある。この逆鈎という部品は引き金の力を撃鉄に伝えるものである。引き金を引くとこの逆鈎も連動して動く。九四式の手動の安全装置も、この逆鈎を動かないように抑えて弾が発射できないようにするものだ。逆鈎は引き金と撃鉄をつないでいる重要な部品であり、これを動かすことによって九四式は弾を発射することができると理解してもらえれば十分だろう。
ここからが問題だ。なんと九四式は逆鈎が銃の側面に露出しているのである。逆鈎の前部を押し込むと、引き金を触らなくとも撃鉄が落ちてしまう。誤って触れてしまったり、何かの拍子で側面に力が加わったら弾が発射されるかもしれない。もちろんこんな使い方をすることは初めから想定されていないが、発射する意図がないのに弾を発射してしまうことを日本語では暴発というわけだから、九四式拳銃は「暴発させる危険性を持っている銃」だ。こういった見方が自然であるように思う。
日本軍の拳銃の取扱法?
日本軍の拳銃の運用方法から見れば、特に問題にならなかったのだという者もいる(これが九四式自体の擁護になっているのか疑問なのだが⋯⋯)。彼らによると、「日本軍では拳銃を携行する際、薬室に弾を装填しないという規則があった」、「携行する際は弾倉を抜いていた」、しかもその規則を「徹底していた」のだという。九四式は自動拳銃という部類の拳銃である。自動拳銃は、弾を発射したときの反動を利用して弾倉内の次弾を装填し、弾を撃ち尽くすまで連続で撃つことができる。しかし最初の一発は手動で装填しなくてはいけない。薬室の中に弾が装填されていない状態では弾を発射できないから、暴発も発生しない。なるほど本当にそうなら納得できる説明ではある。
自動拳銃と薬室について考えるヒントとなりそうなもの。
①「九四式拳銃保存取扱説明書」より
「射撃中止の場合には常に実包一発薬室に残存するを以て
安全栓を「安」字に一致せしむると共に
弾倉を抽脱して安全子を引鉄に鉤せしむべし」
→「射撃中止の場合」ではあるが、安全装置をかけ、弾倉を抜くという記述。薬室内の弾を抜くという記述ではない。
「引鉄に鈎しあるままならずや
念の為一度必ず薬室及弾倉内を検めたる後引鉄を引き置くべし。」
→薬室と弾倉を検める、撃鉄は起きたままにしないという記述。
②「十四年式拳銃取扱法」より
「弾倉の実包を撃尽さざる間は
仮令(たとい)弾倉を離脱するも
銃の機能上実包常に薬室内に存在するを以て
射撃中止の際は危害予防に付 特に留意するを要す」
→やはり「射撃中止の場合」だが、薬室内の弾に注意を向けさせる記述。薬室から弾を抜けとは書かれていないが、そう解釈することもできなくはない。
(③そもそも日本軍に限らず、当時は薬室に弾を装填したまま自動拳銃を携行するほうが珍しかったとも聞いたが、海外拳銃の取扱説明書や規則を調べたわけではないので一応保留にしておこう。これをあっさり信用してしまっては①や②をわざわざ調べた意味がない。)
携行する際に拳銃をどういう状態にしておくのが望ましいかという項目があるわけではないが、射撃が終わった際に弾倉や薬室を検め、撃鉄を落としておくのであれば、携行する際にはそのような状態になっているとみていいのだろうか。
とりあえず、ここまで。
Posted by けむし at 03:51│Comments(0)
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